初めてのキス
エミ「しかしじゃない。あなたの最近の輝きは異常よ?気づかないの?世の中の全ての事は表裏一体なの。ものすごく嫌いになれるのはものすごく好きだからだし、ね」

春樹「ふむ、なるほど。この味噌汁の温かさも冷たさも紙一重ってわけか」

エミ「・・まあ、それは別だけどね」

春樹「・・・」

エミ「みんな何かを極めるにはどん底まで苦しむのよ。苦しまないで極めたなんて、ただの<つもり>よ」

春樹「なるほど。気づかないうちにはめられてたのか」

・・・二日後

轟は死に、春樹も死んだ・・・そしてその患者に関係していたもの全員が同じ表情・・、つまり満面の笑顔で死んだのが発見されたのだ。

エミ「・・・ど、どういうこと!これは・・・どういうことですか」

そこは、どこかのビルの地下室だった。

老教授がビデオのスイッチを消し、

ゆっくりとエミに言った。

老教授「私は預言者じゃない。精神医療を極めた催眠療法免許取得の学者だ。エミくん、君の今の精神状態は、多大なる過去の症例を取り上げ重ねてみると、例外なく陥るであろう今後の君の人生が想像できた。どんな結果を招くか、そのシュミレーションを見せただけだ。オワカリかな?」

エミ「ワカリマセン。教授とあろうお方が、変装してまで、医師となった教え子たちを訪問していたなんて!教えて下さい・・なぜです?夫をあの世から返して下さい!もとい!あの女から返して下さい!いえ、私をこの状態から解放してください。モトの生活に戻して下さい!!こんな状態では、私こそ死んでしまいそう」

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