初めてのキス
老教授「そこから運命が変わるのだよ(笑)君は今日、家に帰ってからそう言うだろう。
言わなければいいのだ。『あの時に言ったことは嘘だったの?軽い人ね!』今夜言わなければ・・運命は変わる。今の私にはそれしか言えない。頼もうー、それを言うな」

エミ「わかりました・・今夜はゼッタイ言いません」

老教授「ゼッタイという言葉はゼッタイにないというときゼッタイに崩れるのだ」

老教授は地下室のドアを開け、エミに帰るよう促した。日は暮れかかっていた。
エミは呟きながら帰った。
(言わない・・言わない・・)
家に着くと玄関には春樹の靴があった。
居間にはいない。
書斎を覗くと春樹はパソコンと向き合っていた。

エミ「早かったわね・・」

エミは入り口に立ったまま声をかけたが、
春樹は振り向きもせずに言った。

春樹「うん。また予約した患者にスッポかされたよ。今日は具合が悪くて行けませんてさ。
だから帰ってきた」

エミ「何を見てるの?」

春樹「なにって、株式市場サイトを見てるよ。俺の株が上がったかどうか・・」

エミ「・・・どうだか?」

春樹「ン?なに?何か言いたげだね(^^ゞ」

エミがパソコンに近づく。
春樹が慌てて画面を隠す。
しかし・・エミは見た。

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