初めてのキス
嬉しそうに微笑む口元には、彼女の面影が残っている。

しかも、男姿の彼女の方が、俺より男前に見える。

正直、俺は辛くなった。

知らなきゃヨカッタ・・トホホ。

「たまには、女になってくれよ。あぁ・・・俺の彼女は消えちまった><俺のカオルちゃんはどこに・・」

カオルが言った。

「いいじゃん、何もカワラネーヨ。あ、ちなみに俺の名前な、チャン付けするな。つか、俺は、この格好の方が自然なんだ。いちいち驚くな。あ~、やっと気が楽になったぜ!」

俺は黙ってコーヒーを出した。

それを旨そうに飲む彼女・・いや彼、カオルが続けた。

「で、春樹、お前の仕事を教えろよ」

「はぁ?いきなりなんだよ?」

「俺の秘密だけ知って、お前の秘密はナイショか?それはナイッショ!」

「(-o-;仕事、ただの便利屋だって言ったとおりよ」

「嘘言うな。ただの便利屋じゃないだろ。・・知ってるんだぜー。俺も手伝うよ」

「もしかして・・最初からそのつもりで、その話をするつもりで、来たのか?」

「まぁね(^^)」

俺は迷った。

こいつに、俺の仕事を打ち明けるべきか?

こいつは、俺の仕事をどこまで知ってるのか?

しかーし、こいつが彼女だった頃を思い出せ・・

俺は結婚まで考えたんだぜ。それくらい、信頼していた。

そして今、こいつは正直に自分の正体もバラした。

人生で出会う人の数なんて知れてる・・

なんでも許せる人を見つけなければならない。

いいんでないの?別に、こいつでも。

そう・・俺は覚悟を決めた!
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