鬼畜王子の飼育方法
「ほれ、ちょっとはマシになったでしょ」
得意気に笑いながら、夏生が使っていた手鏡を私の前につきだす。
「……あれ、私?」
鏡に映った自分をまじまじと見つめる。
やば…
自分で言うのもなんだけど、なかなか可愛──…
「私のメイクが良かったんだからね?感謝しなさいよ?」
「うっ…」
さすがです、夏生様。
恐れ入りました。
私はあなたに逆らうことは出来ません。
「ね。私はどう?変じゃない?」
「んー…」
改めて、夏生の顔を見る。
悔しいけど…可愛い。
女ってのは、化粧ひとつでこんなに変わるものなのかと。
夏生はもともと目鼻立ちも整ってて、いわゆる美形という顔だったけど。
ピンクのシャドーとチークのせいかな?
いつもより幼く、女の子らしく見える。
「かわいいよ」
「え…まじ?」
「うん。かわいい」
初めて、素直に言ってやった。
夏生は私の反応が予想外だったのか、目を見開いたまま。
そして、小さな声で呟いた。
「素直な美希ってきもちわる…」
な、何ですとー!!