鬼畜王子の飼育方法
「志季先輩はそんなに自分の店が嫌いなんですか?」
そのわりには、接客中は楽しそうだけど。
「違ぇよ!俺はただ……」
ただ、何……?
問い詰めようとした、その時。
「おーい美希、志季先輩、早く早く!」
いつの間に店に入ったのか、夏生が窓越しに手招きしている。
「…とにかくこの話はまた後だ。店のことは話すな。場所も言うな。分かったな?」
「…納得できないし」
「あぁ?」
「い、いえすいません。何でも無いっす……」
頭上から黒いオーラを感じ、慌ててその場から後退した。
これ以上追求するのはやめよう。
さすがに身の危険を感じるわ。
ただでさえ、今日の志季はどっかおかしいし。
(……よし!)
私は気を取り直して、夏生たちの待つお好み焼き屋さんへと足を踏み入れた。