鬼畜王子の飼育方法



「マジでー!?」


先に大声を上げたのは、夏生だった。

これでもかというくらいに目を見開き、身を乗り出して志季を見ている。


…いや、でも。

一番驚いているのはこの私だ。



「…急、すぎたかな」


困ったように頭を掻く志季。


また、だ。

背中に悪寒が走った。




「…志季先輩、帰りましょう」


「は?え、ちょっと美希?」


夏生の制止を振り切り、少し強引に志季の腕を掴んだ。



「オレンジ先輩、すみません。少し二人きりで話したいので、失礼します」


私の言葉に、オレンジ先輩は一瞬戸惑ったように見せたけど、すぐにまた悪戯な笑みを浮かべて言った。


「…まぁ、若い者同士、頑張って」


…あなたお見合いの仲人ですか。


< 131 / 294 >

この作品をシェア

pagetop