鬼畜王子の飼育方法



「…お前、俺に貸しあるよな?」


ふいに、志季はそんなことを言い出した。


貸し…?

私、志季に何か借りたことあったっけ?

必死に頭をフル回転させるも、そのような記憶は無い。



「店のグラスー」


「…げ」


志季…根に持ってやがった。


「総額いくらだろうなぁ?」


ニヤリ。

不気味に微笑んだその顔は、まさに、悪魔。


でも…


「志季先輩、あの時言ってくれましたよね!“人間、皿割って成長するもんだから、気にすんなって”って…」


そう言いながらじりじりと後ずさる私に、志季は続ける。


「チャラにする、とは言ってないけどな」


「なっ…」


「お前が俺の女になるなら、全部チャラにする。それでいいだろ?」



< 134 / 294 >

この作品をシェア

pagetop