鬼畜王子の飼育方法
お店の中から聞こえてくるのは、そんな私たちの状況を知るはずもない夏生とオレンジ先輩の楽しそうな笑い声。
あーあ…お好み焼き、食べたかったなぁ。
なんて、一人落ちこんでいると。
「…おい」
へ?
ハッとして顔を上げると、仏頂面の志季が私を見下ろしていた。
「…何ですか、」
「話すよ。お前には話す。その代わり、誰にも言うんじゃねーぞ?」
「言いませんよ」
ふぅ。
やっと話す気になったか。
長い道のりだったなぁ。
思わず目を細める私。
だけど。
相手はあの志季だ。
そう上手く事が進むはずがなかった。
「…それより腹減った。話はそれからな」
「え?…は!?」
話の続きは!?
動揺する私の手を強引に掴んで、ヅカヅカと歩き出す志季。
──なんて勝手な男なんだろう。