鬼畜王子の飼育方法




「はいよ、水!」


コト、と音を立てて、宮下さんが志季の前にグラスを置く。


「宮下さん、空気読んでくださいよ」

「はぁ?テメーが持ってこいっつったんだろ」


ガッと志季の首を絞める宮下さん。




……何か、まるで兄弟みたい。

嫌がりつつも楽しそうな志季の表情に、やはりこれが素の志季なんだと、その光景を見ていて思った。


志季には心を許せる友達が学校にいないのかな…。




「まぁ美希ちゃん。ゆっくりしてってね♪」


そう言って差し出されたのは、クリームたっぷりのウィンナーコーヒー。


あれ?
どうして宮下さんが…?


「あ、どうして俺が美希ちゃんが好きな飲み物知ってるかって?それはコイツが──…」


ポカッ!


志季の拳骨を食らう宮下さん。



「ッテー!何すんだ」

「すいません、手が滑りました」


しれっとした表情で、志季が言う。


そんな二人のやりとりが可笑しくて、つい笑みが漏れてしまった。




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