鬼畜王子の飼育方法


「…って、俺、なんでこんなことお前に話してんだろな」


そう言って、テーブルに立てかけてあるメニューを手に取った。


「…飯。食うだろ?」


「あ、はい…」



私は一人、頭の中のモヤモヤと葛藤していた。


私の知っている志季は、

我が儘で、自己中で、俺様で、鬼畜で、傲慢で、

悩みなんてヒトカケラもない人だと思っていた。



だけど─…本当はその胸に沢山の悩みを抱えているんだね。


私の知らない志季の素顔。




ねぇ、志季。


志季はどうして、私に話してくれたの?


志季は、私に心を開いてくれてるってこと?



私は馬鹿だし単純だから、自惚れちゃうよ。



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