鬼畜王子の飼育方法
「…あ、もう一つ言い忘れた」
メニューに視線を向けたまま、志季が言う。
「何ですか?」
「さっきの続き。俺とつきあって」
「…は?」
私に目もくれず、志季は確かにそう言い放った。
「…あの、志季先ぱ」
「つかお前さ、店のオムライス食ったことある?」
──はい!?
「い、いえ」
「じゃー食え。マジで旨いから。ここのオムライス」
「はぁ…」
て、何ですかこの流れ。
さっきの告白は?
私の返事はどうでもいいのか?
やっぱり志季は志季だ。
…自己中すぎる。
自己中すぎて、何かもうどうでも良くなってきたぞ。
溜め息をつく私をよそに、志季は宮下さんを呼んでオーダーし始めた。
ったく、どこまでマイペースな人なんだ。
こっちはさっきから、アンタの言葉の意味が気になって気が気じゃないっていうのに。