鬼畜王子の飼育方法
「しっかし、アンタが志季先輩とつきあうとはね!」
事情を知らない夏生は、朝からずっとこんな状態。
今日一日だけで、『信じられない』を何回連呼したことやら…。
でも、分かるよ。
普通に考えて、志季が私を好きになるなんてありえないし。
だからかな?
偽りだと分かっているから、夏生の言葉が余計に胸に突き刺さるのは。
「でも、志季先輩の彼女が美希で良かった」
「え?」
「だって、親友なら素直に応援できるもん」
またWデートできるしね、と微笑む夏生。
…胸がチクンと痛んだ。
だって、夏生は知らないから。
志季は私を、ただの女避けとしか思ってないんだよ。
それ以外の感情なんて──……