鬼畜王子の飼育方法
「アンタ、桜沢志季の何なの」
やっぱりそれかー!
と、心の中でツッコミ。
まぁ、だいたい予想はついていたけど。
人通りの少ない体育館裏。
雑草の生い茂る、ジメジメした空気が漂うその場所で、先輩は開口一番にそう言い放った。
「昨日見た子がいるんだよね」
「志季とどんな関係なわけ?」
志季、と呼び捨てにする辺り、彼女たちは志季の友達か何かだろう。
その目はギラギラと不気味に光っていて、さすがの私も思わず息を飲んだ。
そして、蚊のなくような声で一言
「…何もないです」
そう答えるのが精一杯だった。