鬼畜王子の飼育方法
……が。
予想外にも、志季の言葉は効果があったらしい。
「…分かった」
「ごめんなさい」
口を揃えて、謝罪の言葉を浮かべる先輩たち。
あーあ……
なんか、まんまと志季の思惑に騙されちゃってるよ。
「ほら、行くぞ美希」
「なッ…」
今、美希って…
美希って呼んだ!?
しかも、何ちゃっかり手なんか繋いじゃってるわけ?
「…ちょっ…志季先輩」
「何」
「人が…見ます」
志季一人でさえ目立つのに、こんなところ見られたら…。
「…お前は、俺の彼女」
「へ?」
「そうだろ?」
そう言って志季がニヤリと笑う。
いや、そうだけど、でも…
「言ったはずだ。お前に拒否権はないってな」
「…う」
駄目だ。
今の志季には、きっと何言っても通用しない。