鬼畜王子の飼育方法
「店長ー。頼まれてたモン買ってきましたぁ」
「お。ありがと志季。ってあれ?美希ちゃんどうしたの?」
「あぁ、コイツ酔っぱらってるだけなんで」
「え?お酒飲んできたの?」
「そうじゃなくて…
“俺に”酔ってるんです」
……な、何だとー!
人が黙ってれば好き勝手に言いやがって。
だけど今の私には、そんな志季の言葉に逆らう気力さえ無く──…
二人の会話を遠くで聞きながら、ふらふらと事務所に向かった。
やばい…くらくらする。
顔が…身体が…熱い。
結局あれから、店長に頼まれてた買い出しをすることになった私たち。
時間にして約1時間半。
志季は買い物の間中、ずっと私の手を握ったままだった。
タイミングを見計らって離そうとしても、
「ダーメ」
そう意地悪に微笑んで離そうとしない。
おかげで私は体温上昇。
手汗のことすら忘れて、ただ熱く火照る身体と戦うハメになったのだった───。