鬼畜王子の飼育方法
「オレンジ先輩ーっ」
「…大変だね、朝から」
情けない声ですがりつく私の頭をヨシヨシとなだめながら、先輩が呆れたように笑った。
「ばっちり見たよー。美希ちゃん、志季と手繋いでたでしょ」
「あ、あれは志季が…ッ」
言いかけた、辞めた。
まさか恋人のフリをしているだけなんです、なんて口が裂けても言えない。
「志季に彼女が出来たって学校中大騒ぎだからなぁ。しばらくは視線が気になるだろうけど、頑張って耐えるんだよ」
「そんなぁ…」
いや、覚悟はできてたよ?
志季の人気が半端じゃないってことも知ってるし。
だけどさ。
芸能人じゃあるまいし、限度ってもんがあるじゃんか。
一日中監視されてたら身が持たないよ。
「とりあえず、一人にはならない方がいいね。呼び出されちゃうから」
「はぁ…」
てゆうか、もう既に呼び出されてますがね。