鬼畜王子の飼育方法



オレンジ先輩の激励を背に、重い足取りで教室に向かう。



『ほら見て、あの子だよ』

『え、あれが志季先輩の?』



廊下を通る度に感じる視線、そして耳打ち。

それらを避けるように、足早に教室へと歩を進める。


あぁ、息苦しい……

これから毎日こんな思いをしなければならないのかと思うと、憂鬱になる。



ボンキュッボンの美少女ならまだしも、顔もスタイルも性格も平均またはそれ以下の私だから尚更だ。


きっと放課後あたり、靴が無くなっているに違いない。


小さく溜め息をついて、ようやく辿りついた教室の戸を開けた瞬間だった。



「美希ー!!」



< 173 / 294 >

この作品をシェア

pagetop