鬼畜王子の飼育方法
「夏生、痛いって」
「……」
普段滅多に使用されることのない旧校舎の女子トイレで、夏生はようやく手を離してくれた。
そして、キッと鋭い眼光を放ち一言。
「…この、イカレポンチが!!」
「なっ…」
イカレポンチって…
いや、私がアホなことぐらい自分が一番理解してるつもりだけど。
アホを通り越してイカレポンチ?
そりゃないよ夏生さん。
「あんた自分の立場分かってるわけ?」
「立場、といいますと?」
聞き返した私に、夏生の眉間がピクリと動いた。
「…平凡」
「へ?」
「平凡なんだよ美希は。顔もスタイルも何もかも」
「うっ…」
あまりにも図星すぎて。
そしてあまりにも直球すぎて。
まさに、頭に何かがグサリと突き刺さったような感覚。