鬼畜王子の飼育方法





「…私は美希を心配して言ってるんだからね」


夏生の声のトーンが、微かに穏やかになる。


…分かってる。

夏生の言葉は全て、私を思っての事なんだって。

長年のつきあいで知った。

夏生の毒舌は愛情の裏返しなんだ。



だからこそ、こんなにまで自分を心配して叱ってくれる夏生に申し訳ない気持ちになる。


───本当のこと、言ったらどうなるかな。


実は志季とつきあってるのは、ただの女避けの為だけで。

私たちがしてるのは単なる『恋人ごっこ』なんです。


──なんて。


言えるわけがない。



ブンブンと頭を振って邪念を捨てた。



< 177 / 294 >

この作品をシェア

pagetop