鬼畜王子の飼育方法
けれど。
返ってきた反応は、全くの予想外のものだった。
「マジで!嬉しい!」
えっ…。
一瞬我が目を疑ってしまった。
だって、あんまりにも満面の笑みで笑うから。
「オカズとか、大したものじゃないですよ」
そう言いながら、大きい方のお弁当箱を差し出した。
「サンキュー。って、ぶはっ!何だこれ」
渡されたお弁当箱を見た瞬間、志季が吹き出す。
「お前…これいつのだよ!バッドバツマルて!」
「なっ…そんな笑わなくても…。確かに古いですけど」
「久しぶりに見たわこれ。あー、おっかしい」
しばらくお腹を抱えて笑ったかと思えば、じゃあいただきます、とお行儀よく手を合わせる志季。
そんな姿がいちいち可愛くて、私は自然と緩む口元を抑えるのに必死だった。
「やっぱ一番最初は玉子焼きっしょ!」
パクッ。
大きな口を空けて、玉子焼きを放り込む。
「……」
私は手に汗を握って、志季の反応を待った。
なんだかまるで、裁判の判決が下るのを待っているかのようだ。