鬼畜王子の飼育方法
「ごちそう様!」
綺麗に空になったお弁当箱を受け取った瞬間、思わず顔がニヤけそうになる。
好きな人に手料理を作ってあげることが、こんなに幸せなことだったなんて。
今までは、そんなカップルを暑苦しいだの、めんどくさそうだの、白い目でしか見ていなかったけど──…
実際に身を持って経験してみて、改めて恋することの楽しさとか、幸せな意味を知ることが出来た。
……なーんて、我ながらクサい台詞を言ってみたりして。
「…あーあー。このまま教室戻りたくねぇなぁ」
すっかり満腹になったらしく、志季がゴロンと寝そべり始めた。
太ももに微かに触れる髪の毛がくすぐったくて、思わず身をよじりたくなる。
それでも、気持ち良さそうに目を閉じる志季を見ていたら、どうしても動く気にはなれなかった。
─…なんて無防備な。
第二ボタンまではだけたブラウスから覗く胸元に、ついつい釘付けになってしまう。
女の私よりも白いんじゃないかと思うその透き通った肌に、思わず手を伸ばしそうになってしまった。
畜生、綺麗な体しやがって…。
女でもムラムラすることがあるんだってことを、身を持って知らされた気がする。