鬼畜王子の飼育方法





───────




「…澤、相澤!」


「ん…?」



耳元で私を呼ぶ声が聞こえて。

うっすらと瞼を開けると、ぼんやりとしていた視界が徐々にクリアになっていく。


…そして。



「うわあぁぁっ!」



思わず跳ね上がってしまった。


だって、目の前に至近距離で覗き込む志季の顔があったから。



「な、な、なっ!?」


思わず後退りしながら、声にならない声を上げる。



「ったく…。お前、寝過ぎ。もうとっくに授業終わってんぞ」


「…え?」



慌てて携帯の時計を確認。

そして、青ざめた。



「よ、4時!?」


嘘、待ってよ。

だってさっきまで昼休みで──


いつの間に6限まで終わっちゃってたわけ?


「やっちゃったなー」


パクパクと口を動かす私を見て、志季がヘラヘラと笑う。


「志季先輩!なんで起こしてくれなかったんですか!?」


「何でって…俺だって起きたのついさっきだし。それに…」


「何ですか」


「寝顔見てたら、起こす気になれなかったっつーか……」


そう言葉を濁しながらポリポリと頭を掻く志季の頬は、ほんのり桜色に染まっていて──…。


「…ッ」


釣られて私まで、顔中が熱くなる。



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