鬼畜王子の飼育方法
「ご、ごめんって。ついお昼寝しちゃって…」
ここは正直に謝っておこう。
『はぁ?昼寝?一人で?』
「…いや、志季先輩と」
『なっ!!』
電話の向こうで、夏生が慌てふためいているのが分かる。
『じ、じゃあ二人して寝過ごしたってわけ?』
「はい…」
『……はぁ。まぁでも無事なら良かったわ。倒れたんじゃないかって心配したんだからね!』
「夏生…ふふっ」
なんだかんだで、夏生は私のことを気にかけてくれてるんだ。
やっぱり、持つべき者は親友だなぁ。
そう一人でニヤニヤしていると。
『何笑ってんの?キモ』
…やっぱり前言撤回で。
『じゃあ、切るよ』
「うん。…あ、夏生!」
『何?』
「ありがと、ね」
精一杯の気持ちだった。
『…キモいんだっつの。じゃね』
相変わらず冷たいなぁ。
それでも、微かに聞こえた咳払いの音。
それが夏生の照れ隠しの癖だって、知ってるんだ。
なんだか心の中が、ほっこりと温まったような気がした。