鬼畜王子の飼育方法



ダメだ……。

夏生も、あの甘いマスクに完全に騙されてる。


……夏生は知らないから。


あの志季が、サドで鬼畜な変態野郎だってこと。


いや、分からなくて当然かな。

なんてったって、あの美貌だし。

顔だけ見たら、確かにさわやかな美少年かもしれない。


事実、私も一瞬見惚れてしまった。




「…でも、志季先輩があそこの洋食屋で働いてるって皆が知ったら、大変な騒ぎになるだろうなぁ」


ふいに、夏生が深刻そうな顔でそう呟いた。



「…そんなに人気なの?志季」


「志季じゃねぇ!“先輩”をつけろこのアホ!」


「す、すいません…」



今日学んだこと、その1。

夏生さんは志季の話になると、人格が変わる。




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