鬼畜王子の飼育方法
「──…舞。部屋で遊んでて。お姉ちゃん、お父さんとお話してくるから」
なるべく動揺を悟られないよう、平然を装って笑顔を作る。
「…わかった」
舞は聞き分けが良い。
昔からそうだ。
末っ子で、本来甘やかされるはずの立場でありながら、舞は決してワガママを言わなかった。
常に大人たちの機嫌を伺っては、言いつけはしっかりと守る。
お母さんを失って、その小さな胸をどんなに痛めたことか。
想像するだけでも胸が締め付けられる思いだった。
「…よし」
舞の為にも、お父さんに真実を聞こう。
それが長女の私の責任でもあり、義務なのだから。
そう固く心に決め、意を決してリビングのドアに手をかけた。