鬼畜王子の飼育方法
──カチャ。
いつもは気にもしない金属音が、今日はやけに耳に重く響いてくる。
重量感のあるドアを開ければ、まず視界に入ったのはお父さんの姿。
そして、
ベージュのスーツを身に纏った、見知らぬ女性の背中。
そのベージュが私に気づいてゆっくりと振り返った瞬間、
──ゴクリ。
思わず生唾を飲んだ。
「…貴女が、美希ちゃん?」
………!
しばらく、呼吸すら忘れてその姿に見入ってしまった。
だって───。
雰囲気があまりにも似てるから。
────お母さんに。
「…美希、とりあえずこっちに座りなさい」
呆然と立ち尽くしたままの私を見かねてか、お父さんが手招きをする。