鬼畜王子の飼育方法
私の言葉に、お父さんは一瞬困惑の表情を浮かべて見せた。
そして。
ポツリ、ポツリ、と。
事の経緯を話してくれたんだ。
彼女──…石和望さんは、接待でよく訪れるスナックのママであること。
お母さんを無くして傷心状態だったお父さんを、いつも励まして、支えてくれたこと。
そして気づけば、かけがえのない大切な存在になってくれていたこと…──。
「…彼女は、子供たちのことも、全て面倒を見ると言ってくれたんだ」
「スナックも辞めて、お昼のパートに出ようと思っています」
お父さんの言葉に付け足すように、それまで黙っていた彼女も口を開く。
誰が見ても分かる。
この人は、良い人。
それなのに──……
「…反対って言ったら?」
どうしてかな。
私の心が悲鳴をあげてる。
だって、そうでしょ?
私のお母さんは…
相澤依子
ただ一人なんだから。