鬼畜王子の飼育方法
夜風がひんやりと身体にまとわりついてくる。
寒い─…
冷たい─……
私、何してるんだろ。
感情に任せて家を飛び出したものの、もちろん行く宛なんか無く。
制服姿のまま、私は夜の公園のベンチに居た。
「…寒」
いっそ、このまま凍死してしまおうかな…。
そしたら、お父さん、きっと後悔するだろうな。
私を叩いたこと。
お母さんを裏切ったこと。
─…なんて。
もうそんなこと、どうだっていいや。
今は何も考えたくない。
もう、疲れたよ。
…その時。
──ブブブブブ
ポケットの中で、携帯が小さく震動し始めた。
お父さんかな?
だったら、無視しよう。
そう思って画面を開いた瞬間、思わず絶句してしまった。
何で──?
何で志季の名前が表示されてるわけ!?