鬼畜王子の飼育方法
「はい。でかいかもしんねーけど我慢しろよ」
「…ど、ども」
志季の手からバスタオルと着替えを受けとる。
って、アレ?
どうしてこんなことになってるんだっけ…?
あれから志季が、冷えるからって家まで連れてきてくれて。
ん?家─…?
「……!!」
そうだ。
ここは志季の家だったんだ。
思わず頬が紅潮する。
私ってば、何ちゃっかり男の人の家に上がりこんでるワケ───!?
おまけに、志季の両親は二人とも、地方に出張中。
年の離れたお姉さんはとっくに結婚をし家を出たとかで、要するに、今この家に居るのは志季と私の二人だけということになる。
(うわぁぁぁぁ!)
意識すればする程、事の重大さに心臓がバクバクしてくる。
何かされるわけでも無いのに、家に二人というシチュエーションが、よからぬ妄想を掻き立てる。
「…、」
ダメだ、ダメだ。
冷静になれ、私。
これは、志季が好意でしてくれただけ。
変に意識するなんて馬鹿みたいだっつーの。