鬼畜王子の飼育方法
「まぁ、アレだ。突っ立ってないで座れよ」
「…あ、ハイ」
志季に促され、遠慮がちにソファーに腰を下ろす。
テレビの雑音が無ければ、心臓の音が志季に聞こえてしまいそうで。
緊張を隠すように、必死で冷静を装う私。
とは言っても、話すことが──…
「…あのっ!」
沈黙に耐え切れず、思いきって口を開くと。
「ん?」
振り向いた志季と視線が絡み合い、ドキリと心臓が跳ねた。
「えっと…。聞かないんですか?何があったのか、とか」
いつもの志季なら、根掘り葉掘り事情聴取してくるはずなのに。
今日の志季は、ただ黙って私の頭を撫でてくれていただけで、何も聞こうとはしなかったんだ。
予想外なだけに、調子狂っちゃうよ。