鬼畜王子の飼育方法
「……あ、」
入り口で、何やら固まって話をしている集団を見つけ、自然と足が止まる。
「大丈夫?」
「あ、うん──」
夏生には笑って答えたけど、内心怖かった。
今日は志季が一緒じゃないから、もしかしたら何か言われるかもしれない。
あの時みたいな呼び出しとか…。
思い出したらゾクリとした。
私自身、クラスの皆に特別嫌われてる訳では無いと思う。
夏生の他にもそれなりに仲の良い友達だって居たし、何よりイジメとかそんな低レベルなことをしそうな人はいないはず。
それでも──…。
何の前触れもなく、ちゃっかり志季の彼女の座を奪ってしまった私。
純粋に彼を好きだった子から見れば、私の存在は疎ましいに決まってる。
「──ハァ…」
小さく溜め息をはいて、その集団の脇を通り過ぎようとした時だった。
「あっ、美希ちゃん──」