鬼畜王子の飼育方法
それから、黙々と掃除をすること30分───。
「あれー?新しい子?」
ふと、背後から聞こえた明るい声。
振り返ると、そこには20代くらいの長身の男の人の姿があった。
「もしかして、新しいバイトの子って君?」
「…は、はぁ」
その人は、ツカツカと店内に入ってくると、私の前に立って満面の笑みを浮かべて言った。
「俺は宮下聖二。普段はキッチンなんだけど、たまにホールにも出るからよろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
良かった……。
まともな人みたい。
ホッと胸を撫で下ろした、その時だった。
「…おい新人。テメー何勝手にサボッてやがる?」
──ビクッ。
こ、この声は──……