鬼畜王子の飼育方法
ブブブブブ──…
「…う……ん、」
聞き慣れた震動音で、私は目を覚ました。
重い瞼を擦りながら、手探りで携帯に手を伸ばす。
──夏生だ。
メールには、私の身体を気づかう内容が書かれていて、その暖かさに涙腺が緩む。
なんだかんだ言いつつ、夏生は私のことが好きなんだなぁ。
「…あ、」
ふと、カーソルを下げると。
夏生のメールの下に、一通の未読メール。
ゴクリ、と息を飲んで、そのメールを開いた。
そして、私は自分の目を疑った。
From 桜沢志季
Sub 無題
───────
話があるから
店で待ってる。
------END-----
────え、待って。
慌てて時間を確認する。
「…う、そ」
メールの送信時間から、既に5時間は経過していた。
さすがに、ありえないよね?
お店だってもう、閉店の時間だもん。
待ってるわけ───…