鬼畜王子の飼育方法
思わず耳を塞いだその時。
──ジャラッ!
反動で落ちてしまった携帯電話。
……や、やばい!
慌てて拾おうと身を掲げる。
「……相…澤、」
─────え。
心臓が止まるかと思った。
携帯に手を伸ばした瞬間、視界に入った見慣れた緑線の上履き。
恐る恐る顔を上げれば、そこに在ったのは愛しい人の姿。
「やっぱり、相澤だった」
「……え、」
「そのストラップが見えたから」
そう言って、志季がキーホルダーだらけの私の携帯を指差した。
「……」
どうしよう。
何て言葉をかけたらいいか、分からない。
しかもこの酷い顔。
志季、絶対見たよね。