鬼畜王子の飼育方法
「…何、具合悪いの」
「えっ」
思わずビクッと肩が震えた。
あまりにも自然に、志季が話しかけてくるから。
「…あ、えっと…ちょっと寝不足で」
「…ふーん。俺も」
──志季先輩、も?
寝不足の理由は何ですか?
そう聞ける程、私はデリカシーのない人間では無い。
だから、
「…そうですか」
そう答えるのに精一杯だった。
「……お前、今日バイトは?」
「お休み頂きました」
「…ふーん」
「……」
会話が、続かない。
どうしよう。
額から脂汗が滲み出てくる。
私と志季は、今はただの先輩と後輩の関係。
そう割り切れたら、どんなに楽だろう。