鬼畜王子の飼育方法
「…あの!」
重い空気に耐えきれず、やっとの思いで口を開いた。
「あ?なに?」
「寝なくて…いーんですか。志季先輩今日シフト入ってたでしょう。仕事に支障出ますよ」
「ふん。お前に言われたくねー」
……あれ?
なんか、いつもの志季?
「お前こそ、さっさと寝ろよ。まさか明日も休むとか言わねぇよな?」
「い、言いませんよ。それに、志季先輩がいるから寝れないんですけど」
「あぁ?何だテメ、人を邪魔者扱いしやがって」
「だって事実でしょ」
……あれ?
あれれ?
なんか、ごくごく自然に会話してる気がするのは、気のせい──…?
「だいたい、何で寝不足なんだよ。どうせ漫画でも読んで夜更かししてたんだろ?」
「なッ…!一体誰のせいだと思って…」
───あ。
やばい。
そう思った時には、どうやら手遅れだったらしい。
「どうゆう意味だコラ」
気づいた時には、眉間に皺を寄せた志季が私を見下ろしていた。