鬼畜王子の飼育方法
「…ねぇ、愛梨」
「なに」
「もし今日私が帰って来なかったら、東京湾にいるから探してね」
「はぁ?」
何言ってんだこいつ?
そんなジトッとした目で、夏生が私を見る。
「海いくの?」
「じゃなくて、海にいるんだよ。暗い暗い海底にさ」
「みぃちゃん、」
「何?」
「病院行ったら?」
…………。
我が妹ながら、冷たすぎる。
姉が命の危機に陥ってるっていうのに、華麗にスルーですかこのやろー!
「それより早く学校行きなよ。もう時間じゃないの?」
「…うん」
行くよ。
行きますよ。
もしかしたらもう二度と、帰って来れないかもしれないけどね…。