鬼畜王子の飼育方法



「…ねぇ、愛梨」


「なに」


「もし今日私が帰って来なかったら、東京湾にいるから探してね」


「はぁ?」


何言ってんだこいつ?
そんなジトッとした目で、夏生が私を見る。


「海いくの?」

「じゃなくて、海にいるんだよ。暗い暗い海底にさ」

「みぃちゃん、」

「何?」

「病院行ったら?」





…………。


我が妹ながら、冷たすぎる。


姉が命の危機に陥ってるっていうのに、華麗にスルーですかこのやろー!


「それより早く学校行きなよ。もう時間じゃないの?」


「…うん」


行くよ。

行きますよ。




もしかしたらもう二度と、帰って来れないかもしれないけどね…。





< 273 / 294 >

この作品をシェア

pagetop