鬼畜王子の飼育方法
学校までの道のり。
いつヤツに遭遇しても良いように、細心の注意を払いながら足を進める。
コソコソと周囲を確認しながら歩く私は、端から見たらただの変質者だ。
「……よし!」
今朝もなんとか無事に、校門に侵入することが出来た。
ホッと胸を撫で下ろしていると。
「あ、美希ー!」
ブンブンと腕を振って、夏生がかけ寄ってくる。
全くあんたは。
人の気も知らず、朝からどんだけハイテンションなんだよ。
「美希、昨日どうしたの?志季先輩固まってたよ」
「ゔ……」
そうだった。
私は昨日、夏生の腕を振り切って逃げたんだ。
「…ちょ、ちょっと喧嘩をしてしまいまして」
「喧嘩ぁ?あんな優しい志季先輩と?」
「……」
夏生は分かってない。
志季の本性。
そして恐ろしさ。
多分本当の志季の姿を見たら、泡吹いて倒れるんじゃないかな…。