鬼畜王子の飼育方法
「……美希ちゃん」
教室に着き、鞄から教科書を取り出している時だった。
頭上で聞き覚えのある声がして、顔を上げると。
「…亜弥ちゃん」
一瞬、ゴクリと喉が鳴る。
亜弥ちゃんとは、一昨日気まずい鉢合わせをして以来話をしていない。
あの後志季と何があったのか。
気にならないとはいえば嘘になるけど、私が特別深入りすることでも無いと思って、知らないフリをしてたんだ。
「今、平気?」
「え、うん…」
とは言ったものの。
…やだなぁ。
やっぱり、気まずい。
ただでさえ、亜弥ちゃんのグループの子たちの視線を痛いほど感じるのに。
「じゃあ」
オロオロと顔色を伺う夏生に軽い目配せをして、私も彼女の背中を追った。