鬼畜王子の飼育方法
「──であるからして……。
………おーい、相澤」
「……」
「相澤!聞いてるのか!」
「へ?あっ、すみません!」
突如頭上で響いた先生の声に、ハッと我に返る。
そして、慌てて閉じっぱなしだった古文の教科書を見開いた。
「全く。せめて期末前ぐらい集中せんか」
呆れたように溜め息をつき、再び教壇へと歩いて行く先生。
その後ろ姿をぼんやり見つめながら、再び頬杖をついた。
私は朝からずっと、こんな感じ。
今が2週間後に控えた期末前の追い込みと知りつつも、全く授業に身が入らない。
…というのも。
私は焦っていた。
昨夜からずっと、志季がご無沙汰なのだ。
昨日の今日だし、朝一番に連行されることを覚悟してたんだけど。
私の予想はどうやら見事にハズレてしまったらしい。