鬼畜王子の飼育方法



──今度は逃げずに、ちゃんと志季と向き合おう。


そう決意した矢先にこれだよ。



「ハァァァ……」


本日通算12回目の溜め息が、私の口から漏れた。



──ねぇ、志季。

アンタは一体何なのさ。


ついでに、そんな志季にいちいち振り回される私も何なのさ。


東京湾に沈められる覚悟で学校に来た私の決意はどうなるの。


まさか焦らしプレイですか、そうゆうことですか。



…こんなことなら、昨日逃げずに話を聞いておくんだった。

って、今更後悔しても遅いけど。



アンタと一日会わないだけで、胸にポッカリ穴が空いたような感覚になるんだよ。


いつの間に、こんなに大きな存在になってたんだろう。



……あぁ、でも。

よく言うよね。



『失って初めて、その人の大切さに気づくこともある』


────って。





私…。本当に志季のことを失っちゃったのかな?





< 280 / 294 >

この作品をシェア

pagetop