鬼畜王子の飼育方法
──今度は逃げずに、ちゃんと志季と向き合おう。
そう決意した矢先にこれだよ。
「ハァァァ……」
本日通算12回目の溜め息が、私の口から漏れた。
──ねぇ、志季。
アンタは一体何なのさ。
ついでに、そんな志季にいちいち振り回される私も何なのさ。
東京湾に沈められる覚悟で学校に来た私の決意はどうなるの。
まさか焦らしプレイですか、そうゆうことですか。
…こんなことなら、昨日逃げずに話を聞いておくんだった。
って、今更後悔しても遅いけど。
アンタと一日会わないだけで、胸にポッカリ穴が空いたような感覚になるんだよ。
いつの間に、こんなに大きな存在になってたんだろう。
……あぁ、でも。
よく言うよね。
『失って初めて、その人の大切さに気づくこともある』
────って。
私…。本当に志季のことを失っちゃったのかな?