鬼畜王子の飼育方法
「今日はここまで。各自、期末対策はしっかりやっておくように」
授業終了のチャイムが鳴り、先生が教科書を閉じる。
──なんだかんだで、もう放課後だ。
とうとう志季は現れなかった。
こうなったら、捨て身覚悟で私から会いに行くべきか…。
ムムム、と眉を寄せて考えていると。
「美希、暗いよー?いい加減元気出しなって」
椅子ごと体を反らせ、夏生が振り返って言った。
「そう?元気だよ」
なるべく不安を悟られないよう、無理矢理口角を上げて笑う。
「つきあってれば喧嘩なんてよくあることだって。まぁ、原因は間違いなく美希にあるだろうけど」
「夏生さん。夏生さん。あなたさりげなく酷いこと言ってませんか?」
──まぁ、確かに。
暴言浴びせたり、あからさまに避けたり嫌な態度とってしまったのは私のほうだけどさ。
最初にキスしてきたのは志季のほうだよ?
……なんて。
こんなん夏生に言えるわけないんだけどね。