鬼畜王子の飼育方法
私の手に、志季の手が──
何これ、熱いんですけど。
てゆうか、顔、近いんですけど!
「…分かったか?」
「……は…い」
気のせい、だよね。
こんなドキドキ…。
あたしは15年間生きてきて男の人とつきあったことどころか、手を握ったことすらない。
相手が志季だからじゃなくて……単に、初めてのことだったから。
それだけだよ、きっと。
──でも。
少しだけ、志季に対するイメージが変わった気がした。
「…千円」
「へ?」
ふと顔を上げると、志季が真顔のまま右手を差し出している。
「千円で勘弁してやるよ。サロンのクリーニング代」
……前言撤回。
やっぱり志季は、サイテーなヤツです。