鬼畜王子の飼育方法
「…まぁ、志季がそう言うなら…」
店長はチラリとあたしを見たあと、履歴書の氏名欄に大きく丸をつけた。
「…え、あの、いいんですか?」
遠慮がちに訪ねてみると。
──パチッ。
志季と呼ばれる男と目が合ってしまい、思わず視線を反らす。
不覚にも、カッコイイ、なんて思ってしまったり。
漆黒のサラサラヘヤーに、涼しげで切れ長の瞳。
彼を美少年と呼ばずして、誰をそう呼ぼう。
あぁ、これでこのふてぶてしい態度さえ無かったらなぁ。
……なんて、心の中で呟いていると。
「…あのさァ」
「へっ!」
ふいにそいつが口を開いたものだから、思わず間抜けな声を出してしまった。