鬼畜王子の飼育方法
「おいおい志季、あんまりいじめるな。お前のスパルタで今月何人辞めたと思ってるんだよ」
「!?」
ふと店長が放った言葉を、私は聞き逃さなかった。
スパルタ…って。
マジですか?
おそるおそる、志季(もはや呼び捨て)の顔を盗み見る。
「やだなぁ、店長。いじめじゃないッスよ。調教です、調教」
どっちも同じじゃー!!
…とツッコミたくなるのを抑えて。
「あの…」
少しだけ遠慮がちに口を挟んだ。
「あ?」
「私このあと用事があって…。明日からじゃダメですか?」
「ちっ」
…え、なに今。
なんか舌打ちのような音が聞こえたような聞こえなかったような……。
でも、まさかね。
気のせい……
「使えねぇガキだな、おい」
……どうやら気のせいでは無かったようです。