鬼畜王子の飼育方法
「……健、」
部屋に入ると、確かに健太は泣いていた。
肩を震わせて。
ティッシュを散乱させて。
───でもさ。
「…何だよ姉ちゃん、邪魔すんじゃねぇよ。今パトラッシュが頑張ってんだよ」
「そっちかい!!」
し、心配して損した。
確かに健太は人よりズレてるというか、微妙に天然入ってるところもあるけど……。
「…ったく、人がせっかく心配して駆けつけてみれば。何がお父さんの浮気を見たよ。友也に変な誤解与えんのやめてよね」
「…誤解?」
私の言葉に、健太がピクリと眉を動かす。
「…誤解じゃねぇよ。俺、この目で見たもん」