鬼畜王子の飼育方法
「……お前、漫才師にでもなれば?」
志季は呆れた表情でそう呟くと、再び私に背を向けてレジを打ち始める。
む…むかつくー!!
人がせっかく感謝の気持ちを伝えに来たのに。
何様だと思ってんのよ。
…あ、志季様か。
「…つかお前、暇?」
「へ?」
ふいに発せられた言葉に、思わず固まる私。
なにこれ…まさか、柄にもなくデートのお誘いですかぁ!?
「…ひ、暇と言えば暇ですけど」
「ふーん」
「あの、どこに行くんですか?」
「は?どこも行かねぇよ。レジ締め手伝えって言ってんの」
「………」
──うん。
期待するだけ無駄だってことが、身に染みて分かりました。