鬼畜王子の飼育方法
「……」
「……」
静寂が、二人を包む。
時折響く電卓の音と、レジを触る音に少しだけホッとしたりして…。
何故なら今は、この空間に私と志季の二人だけだからだ。
「……終了、と」
レジの電源を落とし、小さく息を吐きながら腰を上げる志季。
「あっ、私も終わりました!」
釣られるように椅子から立ち上がり、散らばっていたレシートの山を慌ててまとめる。
「ごくろーさん。ま、猫の手よりはマシだったな」
「…くっ」
悔しいー!
こんなに遅くまでつきあわせた挙げ句、猫の手と比べられるなんて。
まさに屈辱。
せめて犬の手にしていただきたい。