鬼畜王子の飼育方法




「……」




「どうした?早く乗れ」




いや、あの、乗れと言われましても…志季さん?


そこ、自転車の荷台ですよね?

つまり、直訳するならば“後ろに乗れ”と!?



「おい!乗んのか乗らねぇのか?」


「の、乗ります!乗らせていただきます!」



…とは言ったものの。

荷台の前で、私は一人唸っていた。


私は自慢じゃないけど、男の人と二人乗りなんて生まれてこの方一度もしたことが無い。

否、むしろそんなの少女漫画や少しおませな中学生がするものだと──…


密かに憧れさえ抱いていたシチュエーションを、今、ここで、志季相手に体験しろと!?



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