鬼畜王子の飼育方法
しかし、いつまでも此処で燻っていれば、志季の苛々を余計募らせてしまう。
はやる心臓を抑え、深呼吸をして荷台にまたがる。
「…お前らしい座り方だな」
「へ?」
「…いや別に。じゃ、行くぞ」
その言葉を皮切りに、車輪がガタッと動き出す。
「うわっ」
危うく傾きそうになる体。
必死で荷台を両手で押さえ、何とか転落は免れた。
「バカ!ちゃんと捕まっとけよ」
「え?え?捕まるってどこに…」
あたふたする私に、志季は大きく溜め息をついたかと思ったら、
──グイッ。
「ここ」
気づいた時には、私の手は強制的に志季のお腹に回されていた。